VITAL PULP THERAPY神経を残す「歯髄保存療法」
当院では、深いむし歯でも神経を保存できる「歯髄保存療法」を行っています。「他院で歯の神経を抜く」と診断された場合でも、マイクロスコープやMTAセメントを使用し、精密な診査・診断を行うことで、歯の神経を残すことができる場合があります。歯の寿命を考えると、神経を保存するこは非常に重要です。当院では深いむし歯であったとしても、神経を保存することを第一優先に考えています。
神経(歯髄)を抜かない理由
神経を抜くと痛みに気づきにくい=手遅れになる
神経を抜かれた歯は痛みを感じないため、むし歯になっても自覚症状がほとんどありません。
自覚症状が出た頃には手遅れなことが多く、最悪の場合には抜歯が必要となる場合があります。
違和感程度の自覚症状だったのに、実はむし歯がかなり進行していた、というケースも決して珍しくはありません。
将来の抜歯を防ぐ
神経(歯髄)を失った歯は、血液などの栄養が供給されなくなり、歯の耐久性が落ちて脆くなってしまい、歯が折れたり割れやすくなったりします。神経を失った歯と健康な歯を比較した時に、前歯は1.8倍、奥歯は7.4倍も抜歯のリスクが高まります。
一般的に再発率が高いとされる「根管治療」には移行させない
神経が残せないと診断された場合には「根管治療」を行います。細菌感染した神経(歯髄)を根管から取り除き、洗浄・消毒をする治療です。根管内は非常に細く曲がりくねった複雑な形態をしているため、高い治療技術やさまざまな治療機器が求められます。日本で一般的に行われている根管治療の成功率は約40~65%と低く、避けられる根管治療は避けるべきだと考えています。
歯髄保存療法の治療上の注意点
- 歯髄保存療法は、「適応できる場合」と「適応できない場合」があるため、事前の検査が必要です。)
- 92.6%という確率(※論文あり)で神経を保存できる治療法です。
- 治療後、数ヶ月から数年後に歯髄が炎症を起こす場合があります。痛みや腫れなどの症状が出現した場合、根管治療が必要となる可能性があります。
- 治療中、歯髄保存は困難と診断した場合、処置内容を変更することがあります。
当院の歯髄保存療法の成功率 | 90% |
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(調査期間:2013年11月(開業日)~2022年3月)
歯髄保存療法の適応が難しい方は、精密根管治療へ
歯髄保存療法の適応が難しい程、神経(歯髄)にむし歯の感染が広がっている場合には、「根管治療」を行います。
根管治療は難易度が高い治療です。
治癒しない場合には、次の処置として外科手術または抜歯が必要となります。
当院はマイクロスコープ・ラバーダム・歯科用CTスキャンを使用するほか、さまざまな取り組みを行う「精密根管治療」を導入することで、根管治療の成功率を高めています。
いかに「神経を残す」か、残せない場合には「精密根管治療」を施すことが、その歯の寿命に大きくかかわります。
精密根管治療を実現するための7つの取り組み
- マイクロスコープ
根管内の施術には、4~20倍まで拡大して確認できる歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を使用しています。
- ラバーダム
根管治療に最も重要なものがラバーダムです。ラバーダムというゴム製のシートで、唾液に含まれる細菌から歯を守ります。
- 歯科用CTスキャン
治療前の精密検査では必要に応じて、歯科用CTスキャンを使い、根管の形態や、根尖病巣がどのように広がっているかを確認します。
- NiTiファイル
根管内の汚れを掻き出すファイルには、ニッケルチタン製のものを使用。しなやかさを持つため湾曲した根管にフィットし、スムーズな施術を可能にします。
- MTAセメント
根管治療の最後に根管を充填するセメントです。殺菌効果が高く、神経を守りながら根管をしっかり補修します。
- 最小限の歯質の切削量
マイクロスコープを使用すると、歯を20倍に拡大して観察することができるため、必要以上に歯を大きく削る必要ありません。
結果として、歯を長く持たせることができます。
日本の根管治療の成功率と海外と当院の成功率の比較
日本では、マイクロスコープ、ラバーダム、歯科用CT全てを導入している歯科医院はごくわずかです。日本の一般的な根管治療では、使用できる器具や治療時間に制限がかかってしまうため、海外と比べて成功率が上がりにくい、という現状があります。
当院では、海外の治療水準と同レベルの設備を使用して治療を行っています。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
日本の一般的な根管治療の成功率は約40~65% | |||||
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根管治療の成功率 | マイクロスコープ | ラバーダム | 歯科用CT | 初回 | 再治療 |
日本の一般的な根管治療 | × | × | × | 65% | 40% |
海外の治療 | ○ | ○ | ○ | 90% | 70% |
当院の精密根管治療 | ○ | ○ | ○ | 96% | 88% |
調査期間:2013年11月(開業日)~2022年3月
当院が手がけた歯髄保存療法~症例紹介~
歯髄保存療法 症例1 歯髄まで達する深いむし歯の治療
- ① 治療前
- ② むし歯除去中
- ③ 虫歯除去後、歯髄を確認
- ④ 歯髄保存のためMTAセメント
を使用(1日目終了)
- ⑤ セラミックス・コンポジット
レジンを充填中(2日目)
- ⑥ 治療後
治療回数 | 2回 | 治療費 | 121,000円(税込) |
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歯髄保存療法 | 55,000円(税込)+ ダイレクトボンディング 66,000円(税込) | ||
治療方法 | この患者さんは、見た目が黒くて気になるとの主訴で当院を受診されました。痛みなどの自覚症状はありませんでしたが、レントゲンから歯髄まで達するむし歯を認めました。実際に古い詰め物を除去すると、内部は広範囲にむし歯が再発していました。事前の予想通りむし歯は歯髄まで達していました。MTAセメントを使用し、歯髄保存を行いました。 |
精密根管治療 症例1 抜髄
- 治療前
- 治療後
治療回数 | 精密根管治療 3回 | ジルコニアクラウン 3回 | ||
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治療費 | 100,000円(税込) | 165,000円(税込) | 合計 | 265,000円(税込) |
治療方法 | 他院にて3か月前に被せ物治療をした奥歯に強い痛みがあるとの主訴で当院を来院されました。 |
精密根管治療 症例2 感染根管治療
- 治療前
- 治療終了から1年後
治療回数 | 精密根管治療 3回 | ダイレクトクラウン 2回 | ||
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治療費 | 88,000円(税込) | 110,000円(税込) | 合計 | 198,000円(税込) |
治療方法 | 左上の奥歯の痛みと膿が出ることを主訴に来院された患者さんです。 |
精密根管治療 症例3 再根管治療
- 治療前
- 治療終了から3ヵ月後
治療回数 | 精密根管治療 4回 | ジルコニアクラウン 3回 | ||
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治療費 | 132,000円(税込) | 165,000円(税込) | 合計 | 297,000円(税込) |
治療方法 | この患者さんは自覚症状は一切なかったものの、レントゲンから歯の根の周囲に黒い影を認め、 |
精密根管治療 症例4 歯根端切除術
- 治療前
- 治療直後
- 治療終了から2年後
治療回数 | 1回 | 治療費 |
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治療方法 | 根管治療を行い、その後の症状や根尖透過像が消失しない場合は歯根端切除術を行う場合があります。 |
歯髄保存療法・精密根管治療 治療費
歯髄保存療法 | 55,000円(税込) |
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精密根管治療(初回) |
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精密根管治療 (過去に他院で根管治療を行った場合) |
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歯根端切除術 |
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※修復治療、補綴治療は別途費用が必要となります。